幸福について―人生論 (新潮文庫)



幸福について―人生論 (新潮文庫)
幸福について―人生論 (新潮文庫)

商品カテゴリ:人文,思想,学習,考え方
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厭世家?とんでもない!彼はリアリストだ!

何かというと、彼の著作には、『厭世哲学家の透徹した云々...』と紹介されています。でも実際はどうでしょうか?哲学史上では、傍流である、彼の哲学や著作に縁があった人は、皆さんそれぞれ、いろんな経路を経て、ショーペンハウアーに辿り着いたのだと思いますが、私事、三度ふられた恋人(同じ人に3回!(苦笑))に、言われた一言、『あなたからはショーペンハウアーを連想する』で、彼の著作に行き当たることになりました。はい。(本作品は3冊目)本来的には、内容に即したはずの装丁(表紙の爽快な青空と白い綿雲!)が、何か逆説的、反意的にも感じられ、また、文字を大きめに改版してくださった、出版社や装丁者のセンスにも深く感謝したいです。(旧版の装丁ではちょっとねぇ...)最初はよく理解できなくても、夏の公園の木陰で蝉の声を聞きながら、読んでいるうちに、わかってくるから(元より彼の文章は破綻が無く文学的だと評価されている)読むことも、『稽古』や『訓練』なんだなと、再認識させられます。(他の著作では本を読む行為をこき下ろしてたりするのだが...)適当に開いたページから溢れ出る、その内容の奥深さ、比喩の普遍性、多岐にわたる説教がありがたく感じられてくること然り!スピノザあたりに同じこと“言われる”と『レンズ磨きふぜいが何を言うか!』と、腹が立つけど、ショーペン爺さんに言われると、納得せざるを得ないこの説得力!“はねっ返り”で、背丈に見合わないプライドで自己嫌悪になったりする人は、みんなショーペンおんじが好きになります!(こんな骨っぽいじーちゃん(男性)今時居ないもの。)
鋭い皮肉と高い知性

 本書では、いきなり緒言から、幸福な生活というものを否定している。

《さて人生がこういった生活の概念に合致しているかどうか、ないしせめて合致することがありうるかどうかというに、この問いに対しては、読者もご存知のとおり、私の哲学は否と答えるのである。》

 それでもショーペンハウアーがこのような本を書いたのは、世間にはびこる「偽りの幸福」への幻想を破壊するためだったのではないか。

《愚鈍な人間であってみれば、社交よ芝居よ遠足よ娯楽よと、いかにひっきりなしに目先が変わっても、死ぬほどつらい退屈は、どうにも凌ぎがつかない。貪欲で嫉妬深い邪悪な性格は、巨万の富をいだいても、満足はしない。けれども精神的に優れた非凡な個性を絶えず楽しむ人ともなれば、一般人の求める享楽の大部分は、全くなくもがなの享楽であり、むしろ煩わしくうるさいばかりである。》
おしゃれな表紙

知的好奇心を満たすのは当然のことながら、幸せといわれるものの多様性、孤独の価値など、様々なものが学べると思う。しかし、私自身が一番学べたことは、人に対する洞察力。人は何に突き動かされ、どういうものに翻弄されるか、この答えが分かるとき、人に対する理解が生まれる。そういったヒントに一番多く役立った。
内容充実!!

訳者の言葉(裏表紙)「幸福は人間の一大迷妄である。蜃気楼である。だがそうは悟れるものでない。この悟れない人間を悟れないままに、幸福の夢を追わせつつ、救済しようというのである。人生はこの意味で、そのまま喜劇である。戯画である。ユーモアである。したがってこれを導く人生論も諷刺的、ユーモア的にならざるをえない。本書は厭世哲学者といわれる著者が、豊富な引用文と平明な表現で人生の意義を説き幸福を教える名随筆『処世術箴言』の全訳である。」

 この本の小ささからは想像も出来ないほど内容が詰まっています。特に第四章の「人の与える印象について」と、第五章の「訓話と金言」は是非読んでみてください。

 第四章は人の目を気にしがちな人にお勧めです。(と言っても気にしない人は少ないと思いますが)日々、私たちは多くの人の中で生活する中で、他人の目に映る自己を構築し、一喜一憂していることが多々あります。しかし、果たしてこの事に意味があるのか?この決断は精神の貴族への第一歩だと思います。

 第五章は正に処世術に関する箴言です。様々な状況における処世術を53のエッセイの形で書いてあります。赤線を引きながら読むことをお勧めします。

 この本を何度も何度も読み、赤線を引っ張り、本がボロボロになるにつれ、あなたの人生の大切な宝物になるはずです。ちょっと言いすぎましたが・・・難しい所もありますが、全体的に読みやすい文章です。原型である文も良いのでしょうが、訳者である 橋本文夫さんの訳も素晴らしいと思います。読ませる文章です。老若男女に勧めたい本です。
参考書として

 必ずしも、著者の言う「幸福論」が現代の我々に当てはまらない。「人生は何ものにもあたいしない。人生にあたいするものなど何もない」と、言ってしまえばそれまでだけど、人生に微々たる影響を及ぼさぬものもないので、あなたに通ずるものを、拾い上げてください。

 時代を超える(部分の)考え方もあるから、今に残っているわけで、そこが古典の良いところなのですから。



新潮社
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自殺について 他四篇 (岩波文庫)
読書について 他二篇 (岩波文庫)
心に突き刺さるショーペンハウアーの言葉
孤独と人生




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