スペインうやむや日記 (集英社文庫)



スペインうやむや日記 (集英社文庫)
スペインうやむや日記 (集英社文庫)

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毒舌と皮肉

 1998年に出た単行本の文庫化。
 著者はスペインに住んで30年にもなる画家。あちらでの日々の生活を書き散らしたのが本書。毒舌と皮肉が持ち味で、読んでいてなかなか楽しい。偽悪的な雰囲気がビシビシと伝わってきて、こういうのが好きな人にはたまらないだろう。
 テーマとなっているのは、スペインの人たちのおおらかな生活。といっても、本当なら決して肯定はされないような部分に光が当てられている。時間にルーズだったり、税金を払わなかったり、人から借りたものは返さなかったり。しかし、それこそず人間の自然な在り方なのだと著者は(言外に)主張しているのである。
 著者による多数の絵が挿入されている。けっこう強烈な画風だ。
旅情ぎっしり

スペイン旅行の際に、飛行機の中で読もうと思って持って行きました。はっきり言って困りました…面白すぎる!!独りゲラゲラ笑い、ふーむと考え込み、変な人として狭い機内で過ごすことになってしまったのです。スペイン好きで旅行は何度も行っていますが、堀越流の視点で見ると、プラド美術館の名作や、美しい町並み、街行く人たちが、一味違って見えました。旅に出たいけど、時間とお金が無いという人にも、絶対お勧め!
旅情

うやむやである。まことにうやむやである。しかもうやむやの性質が違う。注意深い読者ならば、ここにいううやむやを、日本語の「曖昧」とか「いい加減」と理解すると多分スペインではケツの毛まで抜かれることになるだろうということに気づくであろう。著者の言う「うやむや」とは、著者が自称「国際人」として荒野のガンマンのごとく日々対峙している良くも悪くも「理不尽な鷹揚さとともに無造作に運命をゆさぶられること」の意味である。

彼がコンパードレ(ゴッドファーザー)となった親友のジプシー一家、家主の因業婆あ、役所の委託で共役費を徴収しに来た若者、マドリードにステイしているのにプラド美術館にも行ったこともない日本人の女子大生、三島駅のうどん屋のおばちゃんに至るまで、ああ何と、彼の日々は「旅情」に満ちていることか。嘆くことナカレ堀越千秋。人は強い男が理不尽な目に会うのを見るのが好きなのだ!

「知識とは何か。ぜんぶ嘘。  − 堀越千秋」

全く良いことを言う。
彼がトム・クルーズに似ているというのもウソである。



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